5.裏社会編[86話~110話]

5.裏社会編[86話~110話]

110話「白い香り」

マンションのドアを開けると、早苗が玄関まで走ってきた。「おかえりー!ねぇ、ちょっと来て」そう言って、私の袖を軽く引く。「どうした?」靴を脱ぐ間もなく、そのままリビングへ引っ張られた。ソファーに座ると、早苗もすぐ隣に腰を下ろす。テーブルの上に...
5.裏社会編[86話~110話]

109話「知ってしまった理由」

美緒のマンションを出ると、まだ暑さが残る中にも、少しずつ涼しさや秋の気配が感じられた。私は車に乗り込み、携帯を取り出してエンジェルタッチの藤本に連絡を入れた。今から店に行くことを伝える。エンジェルタッチに話を通しておく必要があった。集金は、...
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108話「奈緒の終わり」

目が覚めると、隣に美緒の姿はなかった。カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋の中をぼんやりと照らしている。耳を澄ますと、キッチンの方から小さな物音が聞こえた。身体を起こし、そのままリビングへ向かう。美緒は背を向けたまま、静かにコーヒーを淹...
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107話「本当の名前」

奈緒の部屋は、前に来たときと変わらなかった。けれど、そこにいる奈緒だけが、少し違って見えた。「コーヒー淹れますね。弘さんからコーヒー好きって聞いたから、美味しそうな豆を買っておいたんです。」そう言って奈緒はキッチンへ向かった。部屋を見回すと...
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106話「奈緒という選択」

コーヒーの香りが、静かな部屋にゆっくりと広がっていく。カップにコーヒーを注ぎながら、頭の中を整理する。届出のこと。弘の名義。そして、もうひと店舗。届出制になれば、店の数は一気に増える。今のやり方が、いつまでも通用するとは思えなかった。大手の...
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