5.裏社会編[86話~110話]

5.裏社会編[86話~110話]

90話「表の顔の意味」

「はい。これ」恵美がテーブルの上に紙袋を置いた。手に取ると、ずっしりとした重さが伝わってくる。紙袋を開けると、帯封の百万円が六つ。そして、十万で束ねられた五十万。六百五十万が入っていた。恵美はコーヒーを一口飲み、私を見た。「江崎さんのところ...
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89話「鍵が戻る日」

江崎さんのところを出たあと、車に乗り込み、もらった大判焼きをかじりながら恵美に連絡を入れた。「江崎さんとの話、終わったよ。今からそっちに行くから」話の内容は言わず、行くとだけ伝えた。「分かった、待ってるわ」恵美は私の声で、ある程度の結果が分...
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88話「最初の客」

三度目のブザーの音を聞く。「すいませーん」と声をかけると、返事はないが人が歩いてくる足音が聞こえる。廊下の奥から江崎さんが現れた。「あぁ、あんただったのかい」と言い、口元に笑みを浮かべた。「ご無沙汰してます」私は軽く頭を下げた。「まぁ、上が...
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87話「表の顔の誕生日」

江崎さんの店での出来事がきっかけで、私は新しい一歩を踏み出すことになった。講習会場は都市部。一時間ほどの道のりだった。その間、恵美と軽い雑談を交えながら、これからの話をした。会社名のこと。動き方のこと。自分たちの立ち位置。会社名はいくつか候...
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86話「表の顔」

雨の夜の出来事以降、恵美のマンションに時々行くようになっていた。特別な用事はないが、お互いに何か口実をつくり、会うようになっていた。その部屋で会うとき、恵美は“恵美さん”ではなく、恵美の顔になっていた。「そう言えば、江崎さんの件はどうなった...