2026-05

5.再出発編[111話~135話]

123話「この形なら」

目が覚めると、部屋の明かりは少し落ちていた。キッチンの方から、水の音と食器の触れ合う小さな音が聞こえる。どれくらい寝ていたのか分からないが、体は少し軽かった。携帯を見ると、弘から「今から行きます」とメッセージが入っていた。最近は電話じゃなく...
5.再出発編[111話~135話]

122話「整っていく時間」

私は美緒に、今から行くと連絡した。美緒のマンションに向かうときは、いつも近道になる有料道路を使う。その道路は山を縫うように走っていて、ついこの間まで緑一色だった景色が、今は緑、黄色、赤と山の表情を変え、季節はもう初冬の雰囲気だった。マンショ...
5.再出発編[111話~135話]

121話「まんざら嘘でもない未来」

次の日から、一気にやることが増えた。まずは、引っ越すことを保護司に報告すること。引っ越すには、それ相応の理由が必要になる。私はソファーにもたれ、忙しそうにダンボールに荷物を詰めている早苗と里奈ちゃんを眺めながら、その理由を考えていた。「どう...
5.再出発編[111話~135話]

120話「咲かせる前に」

契約の手続きは、思っていたよりもあっさりと終わった。数日後、私は不動産屋で鍵を受け取っていた。まだ何も置かれていない室内は、やけに広く感じた。静まり返った空間に、自分の足音だけが響く。ここでやっていくのか。そう思いながら、ゆっくりと部屋を見...
5.再出発編[111話~135話]

119話「決めたあとで」

物件の戸建を出たあと、まだ少し現実感のないまま、私たちは三人で食事に行くことになった。私は車に乗る前に、もう一度外から建物を眺めた。そして不動産屋に連絡を入れ、契約することを伝えた。車に乗り込むと、二人はすでに食事に行く店を決めていた。その...