2026-05

5.再出発編[111話~135話]

118話「三人で」

美緒のマンションを出て、地元に戻る車の中で、私は恵美の知人で──月下美人の事務所を仲介してもらっていた不動産屋に連絡を入れた。昨夜のことを思い出しかけて、やめた。コール音が数回鳴ったあと、聞き覚えのある男の声が受話器の向こうから聞こえてきた...
5.再出発編[111話~135話]

117話「花水木の部屋」

美緒のマンションに通うことが、いつの間にか当たり前になっていた。夜になるとそこにいて、朝になると一度自分の生活に戻る。そんな繰り返しが、妙にしっくりきていた。このまま続いていくんだろうと、なんとなく思っていた。美緒はホームページを作ると言っ...
5.再出発編[111話~135話]

116話「美緒の覚悟」

美緒の「ありがとう」が、まだ部屋の中に残っていた。私はコーヒーにもう一度口をつけ、テーブルの上の手帳に目を落とす。「……で、どこから聞こうか?」そう聞くと、美緒は小さく頷き、すぐにページをめくった。「まず、必要な書類なんですが――」迷いのな...
5.再出発編[111話~135話]

115話「全てを見届けたい」

マンションに戻り、美緒の部屋に入ると、いつもの甘い香りが、さっきよりはっきりと広がっていた。「コーヒー淹れてきますね」そう言って、美緒はキッチンへ向かった。私はソファーに腰を下ろし、バッグからノートとペンを取り出してテーブルに置いた。カリカ...
5.再出発編[111話~135話]

114話「同じ景色」

少し早いが、私は事務所を出て美緒のマンションへ向かった。何度か走ったことのある、一時間ほどの道のり。これから先、幾度となくこの道を走ることになるのだろうと思った。美緒のマンションに着くと、やはりまだ車は駐車場になかった。私は車を停め、窓を開...