2026-04

5.裏社会編[61話~85話]

77話「新しい仲間」

ジリリリリリー。目覚まし時計の音が部屋にこだまする。窓から差し込む朝の光に、カーテンがかすかに揺れていた。私はベッドから起き上がり、ベルを止めた。「もう起きるの?」早苗がまどろんだまま目を閉じ、うつらうつらしながらこちらを向く。「ごめん、起...
5.裏社会編[61話~85話]

76話「弘の事情」

月下美人の営業が始まって数日が経ち、店の流れも少しずつ見えてきていた。そんなある日の午後、弘から電話があった。「兄貴、お疲れっす。ちょっと相談があるんすよ」弘にしてはめずらしくテンションが低い。「どうした?何かトラブルでもあったのか?」「い...
5.裏社会編[61話~85話]

75話「始まりの夜」

「お疲れさまでしたー。明日は六時出勤だから、五時半頃迎えにくるね。ゆっくり休んでねー」弘が笑顔で女の子に手を振る。深夜三時過ぎ、最後の女の子を自宅に送り届け、月下美人の初日の営業が終わった。「兄貴、滑り出しは上々っすね。やっぱ兄貴の言った通...
5.裏社会編[61話~85話]

74話「動き出す事務所」

事務所は、駅から歩いてすぐの新築マンションの一室だった。四LDKの部屋で、リビングを待機場所にしている。昼の部のキャストが四人、ソファや椅子に座っていた。オープン初日ということもあってか、みんな少し緊張した様子で静かにしている。テーブルの上...
5.裏社会編[61話~85話]

73話「滝を登る鯉」

朝の光が部屋を優しく包む。窓の外には、まだ柔らかな街の空気が漂っていた。テーブルの上には、由美さんの名刺が置かれている。「BAR 渚…か」駅での印象が自然に思い出され、心の片隅で、近いうちに行くことになるだろうと思った。今日は、刺青の完成を...