2026-06

5.再出発編[136話~160話]

153話「初雪の温度」

夕方前に、茉莉花の事務所を出た。車に乗り込み携帯を見ると、美緒からメールが届いていた。『弘さんからデータ受け取りました。自宅に戻って作業に入ります』一時間ほど前に届いていたメールだった。『分かった。今から行く』短く返信する。部屋のドアを開け...
5.再出発編[136話~160話]

152話「残る微笑み」

翌日の昼前。茉莉花の二階の部屋で、ソファーに背を預け昨日の弘と話したことを頭の中で確認していた。弘には、今日から月下美人に在籍が五人増えること、待機場所は茉莉花にすることを伝えてある。女の子のイメージも共有してあり、仕事が入れば早苗にメール...
5.再出発編[136話~160話]

151話「余韻の中で」

朝の空気を引きずったまま、時間だけが静かに過ぎていった。気づけば、いつもより少し遅い時間になっていた。「そろそろ行く?」美緒がコーヒーを片付けながら、小さくそう言う。「ああ」短く答える。それだけで、十分だった。玄関で靴を履く。「いってらっし...
5.再出発編[136話~160話]

150話「それで十分だった」

目が覚めると、カーテンの隙間から柔らかい光が差し込んでいた。まだ少し眠気の残る視界の中で、隣にある温もりに気づく。規則的な呼吸。触れている腕の重さ。視線を落とすと、美緒がすぐそこにいた。昨夜のことを思い出すまでもなく、それが当たり前みたいに...
5.再出発編[136話~160話]

149話「並んだ服」

茉莉花の事務所を出て、ポケットの中の携帯を取り出す。見ると美緒からメールがきていた。『終わったよ』短い一文。それだけなのに、さっきまでの空気が、少しだけ遠くなる。『あとで行く』と返信して携帯を閉じポケットにしまった。冷たい空気が、頬に触れる...