2026-06

5.再出発編[136話~160話]

138話「消えない光」

夜は、思っていたより静かだった。部屋の明かりを少し落とすと、昼間とはまるで違う空間に感じられる。ソファに座りながら、何気なく窓の外に目をやる。暗くなった公園は、輪郭だけを残して静かに広がっていた。その中に、ひとつだけ浮かぶ光があった。「……...
5.再出発編[136話~160話]

137話「慣れていいのか」

段ボールを一つ、部屋の隅に寄せる。それで最後だった。一度だけ手を止め、部屋を見渡す。「これで全部かな」振り返ると、美緒が小さく頷いた。「うん、多分」少し前まで何もなかった空間に、少しずつ物が増えている。ソファ、ローテーブル、カーテン。そして...
5.再出発編[136話~160話]

136話「入り込む風」

ドアの外に出ると、さっきまでの静けさが少しだけ遠のいた気がした。鍵をかける音が、やけに現実的に響く。隣を見ると、美緒が同じように扉の方を見ていた。「行こうか」そう言うと、小さく頷いた。並んで歩き出す。さっきまで同じ景色を見ていた余韻が、まだ...
5.再出発編[111話~135話]

135話「並ぶ景色」

ドアの鍵を開けると、軽い金属音が静かに響いた。「ここだよ」そう言って扉を開ける。美緒は一歩だけ間を置いてから、ゆっくりと中に入った。昼の光がそのまま差し込む室内を、静かに見渡している。何もない空間。けれど、その視線はどこか丁寧だった。リビン...
5.再出発編[111話~135話]

134話「似合う場所」

昼過ぎの光が、カーテンのない窓からそのまま差し込んでいる。何もない部屋は、思っていたよりも広く見えた。ゆっくりと中に入り、ひと通り見て回る。リビングに立ち止まり、窓の外に目を向けた。窓からは公園のイチョウ並木が見え、黄色に色づいた葉が陽の光...