2026-05

5.再出発編[86話~110話]

108話「奈緒の終わり」

目が覚めると、隣に美緒の姿はなかった。カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋の中をぼんやりと照らしている。耳を澄ますと、キッチンの方から小さな物音が聞こえた。身体を起こし、そのままリビングへ向かう。美緒は背を向けたまま、静かにコーヒーを淹...
5.再出発編[86話~110話]

107話「本当の名前」

奈緒の部屋は、前に来たときと変わらなかった。けれど、そこにいる奈緒だけが、少し違って見えた。「コーヒー淹れますね。弘さんからコーヒー好きって聞いたから、美味しそうな豆を買っておいたんです。」そう言って奈緒はキッチンへ向かった。部屋を見回すと...
5.再出発編[86話~110話]

106話「奈緒という選択」

コーヒーの香りが、静かな部屋にゆっくりと広がっていく。カップにコーヒーを注ぎながら、頭の中を整理する。届出のこと。弘の名義。そして、もうひと店舗。届出制になれば、店の数は一気に増える。今のやり方が、いつまでも通用するとは思えなかった。大手の...
5.再出発編[86話~110話]

105話「甘い沈黙」

次の日、恵美に連絡した。「どうしたの?」気怠い声だった。「寝てた?ちょっと月下美人のことで話があるんだけど」「わかった。待ってるわ」恵美のマンションに向かった。ドアを開けると、いつもの甘い香りがした。リビングに行くとカーテンは閉じられたまま...
5.再出発編[86話~110話]

104話「広がる準備」

翌日、弘から連絡が入った。店の営業時間前の早い時間だった。「兄貴、警察署行ってきたっす」少しだけ息が上がっているように聞こえた。「どうだった?」「江崎さんが言ってた通りです。来年から届出制になるみたいっす」弘は確信を得た言い方だった。「生活...