3.拘置所編

15話「塀の上をユラユラ歩く」

拘置所では、すべてが突然やってくる。いきなりガチャガチャと鍵が解除され、ドアが開き、「四房、運動! 全員出ろ!」という流れだ。三人で急いで廊下に出て気をつけ。担当さんの号令に従い、運動場まで進むというか、行進する。久しぶりに踏む土の感触。広...
3.拘置所編

14話「時計のない場所で」

ただひたすら座る。楽なように思えるが、一日中座って過ごすというのは、なかなかの苦痛だった。自由に動けないから、身体をあたためることも出来ない。使い込まれ、少しささくれだった畳。その上に、座布団とは言えないような薄っぺらい座布団もどきに座り、...
3.拘置所編

13話「合図を待つ時間」

寒さで目が覚めた。昨日と同じ天井が視界に入る。夢だったらよかったのに、と思う前に、ここが拘置所だという事実が先に身体に伝わってきた。布団に入ったままぼーっとしていると、スピーカーから聞き覚えのあるクラシックの爽やかな音楽が流れてきた。この場...
3.拘置所編

12話「一人ではなかった夜」

房に入った瞬間、目が合った。留置場で一緒に過ごした、あの人だった。刑務官が施錠を済ませて立ち去ると、お互いに自然と笑顔がこぼれた。自分が座る位置も、すでに決められていた。急いで腰を下ろすと、小声でこう言われた。「朝からずっと怒鳴られてたなぁ...
3.拘置所編

11話「午睡という時間」

昼食を食べ終え、食器を返したあと、思っていたよりも早く静けさが戻ってきた。留置場では、食事のあとはどこかざわついていた。話し声、足音、職員の声。何かしらの「動き」が、必ずあった。だが拘置所では違った。全員が同じ時間に、同じことをしているはず...