3.拘置所編

10話「ありがたい」

拘置所に来て初日は、ここまで言われるのかと思うほど、罵声と怒声の嵐だった。移監されたのは真冬だった。冷暖房設備のない拘置所は、外にいるのと変わらないくらい寒かった。部屋に入れられて五分ほどすると、刑務官が針と糸を持ってきた。敷布団にシーツを...
3.拘置所編

9話「25番」

想像以上だった。拘置所に入所して、わずか三十分ほどで戦意喪失してしまった。最初に、すべて脱ぐよう指示された。下着一枚で突っ立っていると、間髪入れずに怒鳴り声が飛んできた。罵声の連続だった。これまでの人生で、一度も浴びたことのない種類の言葉だ...
2.留置所編

8話「最後の煙草」

月曜日の朝を迎えた。気持ちはどんよりと憂鬱だったが、外は憎たらしいほどの青空が広がり、太陽がやけに眩しかった。土曜日の夜、取り調べはすでに終わっていた。それでも刑事が、「取り調べ」という建前で、久しぶりに留置場から出してくれた。いつもの取調...
2.留置所編

7話「次の場所」

留置場での生活にすっかり慣れ、日々を淡々と過ごしていた。ある日起訴状が届き、公判が始まった。初めての経験で、緊張していた。法廷に入り、公判が始まるまで手錠ははめられたままだった。裁判官、弁護士、検事、そして傍聴席にもちらほら人がいたが、驚く...
2.留置所編

6話「慣れていく自分」

留置場での生活にも、少しずつ慣れていく自分がいた。それが良いことなのかどうかは、その時はまだ分からなかった。朝は、起床の合図が鳴る前に目が覚めるようになっていた。合図とともに布団をたたみ、そのまま掃除に取りかかる。初めは強い抵抗があったトイ...