3.拘置所編

20話「突然の別れ」

正月も終わり、また、いつもと変わらない毎日を淡々と消化していく日々に戻った。その日は、突然やってきた。朝食を済ませ、いつものように、みんな所定の位置に座った時だった。ガチャガチャと施錠が解除され、ドアが開いた。「60番。出房! 荷物も全部出...
3.拘置所編

19話「忘れない正月」

元旦の朝も、いつもと変わりなく始まった。昨日の大晦日は、夕食の後にラジオから紅白歌合戦が流れ、カップ麺ではあったが年越し蕎麦まで振る舞われた。消灯の時間も紅白が終わる頃まで延長され、その間の私語も暗黙の了解で、小声でなら黙認された。それだけ...
3.拘置所編

18話「巡る季節の中で」

忘年会が終わった翌日、拘置所はいつもと変わらない、寒々とした朝を迎えた。それでも、昨日のことを思い出すと、人のあたたかさに触れたような気がした。そのまま変わりない日々が続き、気づけば年の瀬も押し迫っていた。やがて御用納めの日が来た。官庁が年...
3.拘置所編

17話「ささやかな楽しみ」

あの出来事から、組員の人の励ましもあってか、お爺さんは覚悟を決めたようだった。日が経つにつれ、少しずつ笑顔も戻ってきた。顔つきも以前とは違い、どこかキリッとした、漢という表情に変わっていった。お爺さんは控訴せず、懲役に行くつもりだと言ってい...
3.拘置所編

16話「天国から地獄」

同じ房で過ごす時間が増えると、自然と会話も増えていった。お爺さんは六十代、組員の人は三十代と世代は違っていたが、偶然にも同じ街で生活していたことがあり、話はよく弾んだ。特に組員の人とは、私と共通の知り合いがいたこともあり、二人で話し込むこと...