5.再出発編[111話~135話]

126話「わがまま」

マンションの前に車を止め、エンジンを切ると、一気に静けさが戻ってきた。さっきまでいた茉莉花の事務所の空気とは違う、どこか慣れた静けさだった。エレベーターを出て、美緒の部屋の前に立つ。インターホンを押すと、少ししてから扉が開いた。「お疲れさま...
5.再出発編[111話~135話]

125話「ここにあるもの」

玄関のドアを開けると、部屋の中から声が聞こえた。まだ時間は早いはずだったが、早苗と里奈ちゃんの声が重なっている。「それ、こっちに置いといて」「うん、ここでいいんだよね?」中に入ると、テーブルの上には書類と生活用品が混ざって置かれていた。引っ...
5.再出発編[111話~135話]

124話「動かしはじめる」

目が覚めると、部屋の中は静かだった。昨夜のことを思い出す。料金、やり方、店の形。三人で決めたことは、もう頭の中でまとまっていた。あとは動かすだけだった。携帯を手に取り、時間を確認する。届出制が始まるまで、まだ少し時間はある。余裕とは言えない...
5.再出発編[111話~135話]

123話「この形なら」

目が覚めると、部屋の明かりは少し落ちていた。キッチンの方から、水の音と食器の触れ合う小さな音が聞こえる。どれくらい寝ていたのか分からないが、体は少し軽かった。携帯を見ると、弘から「今から行きます」とメッセージが入っていた。最近は電話じゃなく...
5.再出発編[111話~135話]

122話「整っていく時間」

私は美緒に、今から行くと連絡した。美緒のマンションに向かうときは、いつも近道になる有料道路を使う。その道路は山を縫うように走っていて、ついこの間まで緑一色だった景色が、今は緑、黄色、赤と山の表情を変え、季節はもう初冬の雰囲気だった。マンショ...