3.拘置所編

30話「不正授受」

その日の午後、午睡が終わり布団を片付けていると、お爺さんは自分の布団も片付けず、棚の前でゴソゴソしていた。午睡止めの合図が聞こえたら、素早く布団を片付けないと怒鳴られ、叱責される。私は担当さんの見回りが来たらまずいと思い、お爺さんに声をかけ...
3.拘置所編

29話「棚の中のもの」

久しぶりに、独りじゃない朝を迎えた。やはり人がいるのはいいものだ。「おはようございます」と声に出すのも久々だった。いつもと変わりない朝食も、一緒に食べると美味しく感じられた。ふと気になったのだが、お爺さんは私物をほとんど持っていなかった。あ...
3.拘置所編

28話「新聞の音だけが響いていた」

緊張感と静けさの中、彼の新聞をめくるバサバサという音だけが部屋に響いていた。どんな人なのだろうか。誰も喋らず、沈黙が気まずくなり、私は彼に話しかけた。「ちょっと聞いていいですか?」彼は新聞を読むのをやめ、私をチラッと見て答えた。「はい」その...
3.拘置所編

27話「再び、雑居へ」

ある日、朝食を済ませ、手紙を書こうと用意をしていると、「おい。25番、移動だ。すぐに荷物をまとめろ」と声をかけられた。急いで荷物をまとめる。施錠が解除され、ドアが開いたので廊下に出た。次はどこへ行くのだろうか。移動はいつも前ぶれもなく突然だ...
3.拘置所編

26話「地獄の沙汰も金次第」

拘置所では、土日祝日になると運動も入浴も面会も、手紙の発信さえもない。房から外に出ることは、まずなかった。雪がちらほら降っている日曜日。陣さんが言っていた「地獄の沙汰も金次第」という言葉を、ぼんやりと考えていた。やはり世の中はお金なのだろう...