2026-07

5.再出発編[161話~185話]

169話「静かな取引」

昼過ぎ、私は「時のかけら」に向かった。駅から少し歩いた先に、その店はあった。小さな店で、知らなければ通り過ぎてしまうような佇まい。中に入ると、空気が変わる。アンティーク商品やリサイクル品が所狭しと並んでいた。古い時計、銀食器、雑貨、アクセサ...
5.再出発編[161話~185話]

168話「時のかけら」

朝、目が覚めるともう隣に美緒はいなかった。昨日の夜のまま、部屋の空気がまだ少しだけ残っている気がする。ベッドを出てリビングに行く。美緒はキッチンでいつものようにコーヒーを淹れていた。「もう起きてたのか?」後ろから声をかける。「あっ、おはよう...
5.再出発編[161話~185話]

167話「必要な人」

リトのマンションを出ると、外の空気はかなり冷え込んできていた。さっきまでの部屋の静けさが、まだ頭の中に残っている。そのまま私は、美緒のマンションへ向かった。ドアを開けると、いつもの声と甘くいい匂いが広がる。「おかえり」その一言で、少しだけ肩...
5.再出発編[161話~185話]

166話「寒い部屋の光」

リトの部屋に戻ると、さっきまでの空気とは少し違っていた。さっき見たタレントたちの部屋の記憶だけが、まだ頭の中に残っている。寒い部屋。お風呂の椅子。笑いながら食べていたチキン。それなのに、今いる部屋は静かだった。リトはコートを脱ぎながら、少し...
5.再出発編[161話~185話]

165話「ローテーブルを囲んで」

夕方前、茉莉花を出た。正月の空気は少しずつ薄れていたが、街はまだ静かだった。早苗に見送られ事務所を出て、車に乗り込んだ。携帯を取り出し、リトに連絡する。「もしもし、リト?」電話はすぐに繋がった。「ナオト、待ってたヨ!」「今から行くけど、リト...