5.再出発編[136話~160話]

151話「余韻の中で」

朝の空気を引きずったまま、時間だけが静かに過ぎていった。気づけば、いつもより少し遅い時間になっていた。「そろそろ行く?」美緒がコーヒーを片付けながら、小さくそう言う。「ああ」短く答える。それだけで、十分だった。玄関で靴を履く。「いってらっし...
5.再出発編[136話~160話]

150話「それで十分だった」

目が覚めると、カーテンの隙間から柔らかい光が差し込んでいた。まだ少し眠気の残る視界の中で、隣にある温もりに気づく。規則的な呼吸。触れている腕の重さ。視線を落とすと、美緒がすぐそこにいた。昨夜のことを思い出すまでもなく、それが当たり前みたいに...
5.再出発編[136話~160話]

149話「並んだ服」

茉莉花の事務所を出て、ポケットの中の携帯を取り出す。見ると美緒からメールがきていた。『終わったよ』短い一文。それだけなのに、さっきまでの空気が、少しだけ遠くなる。『あとで行く』と返信して携帯を閉じポケットにしまった。冷たい空気が、頬に触れる...
5.再出発編[136話~160話]

148話「温もりのあとで」

空港を出ると、外の空気は思ったより冷たかった。「寒っ」里奈ちゃんが肩をすくめながら言う。「韓国の方が寒かったんじゃない、雪降ってたし」早苗が少し笑いながら返す。「いや、なんか違うの。こっちの寒さの方が刺さる感じ」そんな他愛のないやり取りをし...
5.再出発編[136話~160話]

147話「柔らかな距離」

翌朝、目が覚めると、部屋の空気が柔らかかった。カーテンの隙間から差し込む光が、床にやわらかく伸びている。隣を見ると、美緒がまだ眠っていた。規則的な呼吸と、わずかに乱れた髪。そのどちらもが、昨日より近く感じた。起こさないように、そっと身体を起...