4.社会復帰編

41話「境界線の向こう側」

静かな朝を迎えた。あの「起床ー!」という号令で目覚めなくていいのかと思うだけで嬉しかった。だが、あの爽やかなクラシックの音楽は、この朝の方がよほど似合っている気がした。コーヒーの良い香りがする。この当たり前の朝を迎えられるだけで、幸せを実感...
4.社会復帰編

40話「夜の街と新しい日々」

久しぶりに夜の街並みを見た。並んでいる車のヘッドライトやテールランプの光だけでも幻想的で、見入ってしまう。ビルの灯りやネオンは感動ものだった。街中は音や匂いで溢れかえっている。車のクラクションや人の笑い声。懐かしい街の匂い、食べ物の匂い。こ...
4.社会復帰編

39話「外に出た日」

拘置所の外に出た。手錠も腰紐も刑務官もいない。今までは外に出る時は最低でも二人は監視で付いていたが、今は一人だ。周りを見回しても誰もいない。背後から呼び止める声も足音もない。身体だけが軽くなったような妙な感覚があった。釈放されたという実感が...
3.拘置所編

38話「色褪せていた景色」

裁判所へ向かう車中で、慣れ親しんだ街並みも今日は違って見えた。いつもと何ら変わらないはずなのに、しばらく見られないと思っているからなのか、色褪せたように感じる。裁判所に着き、長い廊下を法廷へと進む。刑務官の靴のコツコツという音と、履き慣れた...
3.拘置所編

37話「ゼリーの覚悟…行ってきます」

求刑が告げられた公判の翌日も、いつもと変わらない一日が始まった。でも昨日までとは、自分の中で何かが違っていた。四か月程呼ばれた「25番」。また新しい番号で呼ばれるのか、それとも名前で呼ばれる世界に戻れるのか。食事をしながら、そんなことを考え...