tom

5.裏社会編[61話~85話]

81話「兄貴が行ってるから」

ファミレスの駐車場で車のエンジンをかけた。フーッと大きく息を吐く。店の中では平然と話していたが、正直なところ神経はかなり使った。相手の出方ひとつで、どう転んでもおかしくない空気だったからだ。ハンドルに手を置いたまま、しばらく前を見つめる。相...
5.裏社会編[61話~85話]

80話「相撲に負けて勝負に勝つ」

指定されたファミレスに着くと、外の街灯に照らされた看板がぼんやり光っていた。店内に入ると、すぐにその男の姿が目に入った。間違いなくこの男だろうと思い、そのテーブルに向かう。「ラブステーションの方ですか?」店名で聞く。「そうですよ。月下美人の...
5.裏社会編[61話~85話]

79話「夜の電話」

ある日の夜、弘から電話がかかってきた。「兄貴、さっき店に電話があったんすけど」弘にしては、少し真面目な声だった。「誰からだ?」「ラブステーションって店の人間だって名乗ってました」その店の名前を聞いて、すぐに分かった。この業界では、暴力団組員...
5.裏社会編[61話~85話]

78話「静かに大きくなる店」

月下美人の営業は、少しずつだが確実に軌道に乗り始めていた。事務所は新築マンションの4LDK。広いリビングがあり、女の子たちは基本そこで待機している。遠方から泊まりで出勤する子は、空いている部屋でそのまま寝泊まりすることもできた。在籍の女の子...
5.裏社会編[61話~85話]

77話「新しい仲間」

ジリリリリリー。目覚まし時計の音が部屋にこだまする。窓から差し込む朝の光に、カーテンがかすかに揺れていた。私はベッドから起き上がり、ベルを止めた。「もう起きるの?」早苗がまどろんだまま目を閉じ、うつらうつらしながらこちらを向く。「ごめん、起...