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5.裏社会編[86話~110話]

101話「消えない気持ち」

店に向かう車の中で、奈緒はいつもより静かだった。助手席に座り、窓の外をぼんやりと眺めている。「どうした?」そう声をかけると、奈緒は少し遅れてこちらを見た。「いえ……ちょっと緊張してるだけです」そう言って、小さく笑った。その表情は、どこかぎこ...
5.裏社会編[86話~110話]

100話「広がる前兆」

エンジェルタッチに連絡を入れたのは、昼過ぎだった。奈緒から聞いていた話と、弘からの補足を頭の中で整理しながら、電話口の相手と言葉を交わした。先方は妙に話が早く、できれば今日にでも会いたいと言ってきた。急ぐ理由は、金利の支払い日が迫っているか...
5.裏社会編[86話~110話]

99話「静かな転機」

ジルクールを出ると、空はうっすらと白み始めていた。弘と別れ車に乗り込み、さっきの話を思い返していた。車で一時間離れた街の箱ヘル。日掛のやり方では無理がある。相手は十一や月ニだ。下げれば間違いなく飛びついてくるのは分かっている。しかし、こっち...
5.裏社会編[86話~110話]

98話「この店で決めたこと」

弘にジルクールで待ってると言って電話をきった。何度か足を運んだことのある店だが、弘は初めてだと言っていた。店の前に立つと、ブルーのネオンで「ジルクール」と書かれた看板が静かに灯っていた。この店に来るのは、いつも決まって深夜だった。最初にこの...
5.裏社会編[86話~110話]

97話「吐いた唾」

翌日、部屋にはスパイスの香りが残っていた。昨夜のバターチキンカレーの匂いだ。早苗はいつも通りで、何も変わらない朝だった。だが、私の中だけが少し違っていた。早苗はコーヒーを淹れ、朝食の準備をしている。私はソファーに横になり、天井を見上げながら...