204話「小さな街の夜」

しばらく美緒とマンションでくつろいでいた。

テレビを見ながら話したり。コーヒーを飲んだり。

気付けば、外はすっかり暗くなっていた。

私は時計を見る。

そろそろだな、そう思った時。

携帯が鳴り、画面を見るとリトだった。

「もしもし」

「もうすぐ仕事終わるヨ。迎え来れる?」

「うん、今から行く」

電話を切る。

「リト?」

美緒が聞いた。

「うん、終わったみたいだ」

そう言うと、美緒が立ち上がった。

「行こっか」

私たちはマンションを出て車を走らせる。

リトと合流すると、そのまま◯◯市へ向かった。

最初は見慣れた景色だった。

だけど、走るほどに街灯は減り。

道路沿いの店も少なくなっていく。

私は窓の外を見る。

「思ったより遠いな」

そう呟くと。

助手席のリトが笑った。

「もう少し行くと着くヨ」

さらに車を走らせる。

気付けば、いつもより静かな景色に変わっていた。

街へ着く。

飲屋街と言っても、私の住む街よりずっと小さい。

ビルも数えるほどしかない。

その中にある一つのビル。

一階が店。

二階もテナント。

三階から上は住居になっていた。

「ここだヨ」

リトが言う。

車を降り私は周りを見る。

こんな場所まで来るようになったんだな。

少し前なら想像もしなかった。

私たちは階段を上がった。

リトが扉を開ける。

「お邪魔するヨー」

すると。

部屋の中からすぐに声が返ってきた。

「リトー!」

「待ってたヨ!」

中へ入ると、部屋には数人のタレントたちがいた。

みんな自然にリトへ話しかけている。

次から次へと声を掛けられるリトを見る。

本当に顔が広いんだなと思った。

リトが私たちを見る。

「紹介するネ」

そう言って。

私と美緒を紹介した。

すると。

「知ってるヨ!」

「MAHALの友達から聞いてるヨ!」

「アクセサリーの人でしょ?」

思っていたより反応が大きいので、私は少し驚く。

美緒は笑顔を見せた。

「こんばんは」

英語も交えながら話し始める。

すぐに空気へ馴染んでいた。

美緒がアクセサリーを広げると、タレントたちの目が変わった。

「かわいいネ!」

「これ見て!」

「これいくら?」

「ローン?キャッシュ?」

次々に声が飛ぶ。

美緒は笑顔で答えていた。

私はその姿を見る。

販売を重ねる度に。

美緒は、どんどんさまになってきていた。

そんな姿を見ていると。

少し嬉しかった。

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