私はコーヒーを一口飲んだ。
「黒岩が絡んでるなら、きっと碌な話じゃないだろうな」
そう言うと弘は苦笑した。
「俺もそう思うっす」
そして少し声を落とす。
「半ば強制的に加入させられた店の話なんすけどね」
私は黙って続きを待った。
「女の子の在籍のトラブルを仕掛けられたり、色々と難癖をつけられたりしてるみたいなんすよ」
私は眉をひそめた。
「なるほどな」
「もちろん全部が本当かどうかは分からないっす」
弘はそう前置きする。
「でも、同じような話を何人かから聞いたんで、まったくのデタラメでもなさそうっす」
私は腕を組んだ。
もしそれが本当なら、優良店会という名前とは随分とかけ離れた話だ。
弘はコーヒーへ手を伸ばしながら続ける。
「去年、兄貴とトラブった時も似たようなもんだったじゃないっすか」
私は弘を見る。
「あの時か」
「そうっす」
弘は頷いた。
「あれだって、ほぼ難癖みたいなもんだったと思うんすよ」
私は苦笑した。
確かに言われてみればそうだ。
結果的には黒岩と直接話をして話は収まった。
だが、最初から最後まで納得できる話だったかと言われれば別だった。
「あの時は運良く収まっただけかもしれないな」
私は呟いた。
弘も真剣な表情で頷く。
「俺もそう思うっす」
そして少し間を置いてから続けた。
「あいつ、絶対に根に持ってますよ」
私は窓の外へ目を向けた。
黒岩。
あの男なら十分にありえる。
もし再びトラブルになれば、今度は前回のようにはいかないかもしれない。
そんな考えが頭をよぎった。
私は再び弘へ視線を戻した。
「弘」
「はい」
「もう一つ気になる話がある」
私は声を落とした。
「ラブステーションの黒岩だがな」
弘の表情が少し引き締まる。
「あいつの親族に柴田組の宮本という人間がいる」
「そうなんすか」
「ああ」
私は頷いた。
「経営にも関わっているらしい」
弘は黙って続きを待つ。
私は真剣な表情で言った。
「だから余計な事には首を突っ込むな」
弘は真剣な顔で頷いた。
「分かりました」
私はコーヒーを口へ運ぶ。
優良店会。
どうやら思っていた以上に厄介な話になりそうだった。


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