206話「ふと気になったこと」

マンゴージュースを飲みながら、私たちは今日の販売の話をしていた。

「今日も反応良かったね」

美緒が嬉しそうに言う。

「ああ。みんな結構買ってくれたしな」

リトも満足そうに頷いた。

その時、店の扉が開く。

数人の女性が賑やかに入ってきた。

私は何気なく視線を向ける。

すると。

「あっ!」

一人の女性が声を上げた。

「ミオ! ナオト!」

私も思わず笑う。

「メイ」

入ってきたのはMAHALのタレントたちだった。

三人ともアクセサリーを買ってくれた事があり、私も美緒も顔見知りだった。

「久しぶりネ!」

「元気だった?」

メイたちは笑顔で近付いてくる。

軽く挨拶を交わしたあと。

彼女たちは私たちの隣のテーブルへ座った。

注文を済ませると。

自然と会話が始まる。

「今日ね、MAHALグループの◯◯市のお店に販売行ってきたんだよ」

美緒が言った。

するとメイが頷く。

「知ってるヨ。さっき電話あったネ」

「えっ、本当?」

「うん。アクセサリーいっぱい買ったって聞いたヨ」

美緒が嬉しそうに笑う。

それからアクセサリーの話になった。

日本での流行。

どんなデザインが人気なのか。

メンズ物もお土産用に仕入れてほしい。

話は次々と広がっていく。

気付けば。

美緒はメイたちのテーブルへ移動していた。

四人で楽しそうに話している。

「このピアス可愛いネ」

タレントがメイのピアスを指差しながら言う。

「ありがとう。でもそれ人気だからすぐ売り切れるんだよ」

「エー!」

笑い声が響く。

その後は。

「フィリピン料理どうだった?」

という話になった。

「美味しかったよ」

美緒が即答する。

「特にマンゴージュース」

「アハハ! あれ美味しいよネ! グリーンマンゴーのシェイクも美味しいヨ」

メイたちも盛り上がっていた。

私はその様子を眺める。

本当に仲良くなったなと思う。

最初の頃、美緒はもっと控えめな感じだった。

だけど今は違う。

自分から輪の中へ入り、自然に会話をしている。

それが何だか嬉しかった。

私はマンゴージュースを一口飲む。

そして、ふと思った。

そういえば。

彼女たちはどういう仕組みで日本へ来ているのだろう。

タレント。

という言葉はよく聞く。

だけど詳しい事は知らない。

私は隣のリトを見る。

「なぁリト」

「ン?」

「フィリピンのタレントってさ。どういう仕組みで日本に来てるんだ?」

リトは少し驚いた顔をした。

「急にどうしたノ?」

「いや、みんなと知り合って結構経つけど、そういう事あんまり知らないなと思って」

リトは小さく頷いた。

「なるほどネ」

そして、リトはグラスを置く。

「昔と今で少し違うけどネ」

そう言って話し始めようとする。

すると、ふと笑った。

「でもナオト」

「ん?」

「どうして急に気になったノ?」

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