200話「小さな違和感」

目を覚ますと、隣には美緒がいた。

美緒は私の方に顔を向けて眠り、手を私の腕に軽く絡ませていた。

昨夜あれだけくっついて寝たのに、朝になっても変わらなかった。

静かに寝息をたてている寝顔をぼんやり見ていると。

美緒が静かに目を開けた。

少し笑う。

「……おはよ」

「おはよ」

美緒が腕を抱き寄せる。

「起きる?」

「……もう少し」

そう言うと。

美緒が少し嬉しそうに笑った。

しばらく二人でベッドに横になり、他愛ない話をする。

眠いとか、今日は何しようとか。

そんな話。

少しして。

美緒がゆっくり起き上がった。

「コーヒー淹れてくるね」

「んー」

私はそのままベッドへ身体を沈める。

カーテンの隙間から差し込む優しい光。

柔らかい布団。

ベッドに残る美緒の温もり。

まだ少し眠い。

気付くと。

また少しまどろんでいた。

「コーヒー入ったよ」

声が聞こえ目を開けると。

美緒がベッドへ腰掛けていた。

「起きて」

そう言いながら。

優しく髪を整えてくる。

「また寝てしまってたな」

私が笑う。

「うん」

美緒は私の頬を優しく撫でながら笑った。

身体を起こしリビングへ向かう。

ソファーに並んで座り、二人でコーヒーを飲む。

静かな朝だった。

他愛ない話をする。

昨日の話。

今日の話。

そんな事を話しながら、コーヒーを飲んでいた。

すると。

携帯が鳴る。

見ると弘からメールだった。

『お疲れです。時間あるときに連絡ください』

そう書かれていた。

私はすぐ電話を掛けた。

「兄貴、お疲れっす」

弘の声。

「どうした?」

少し間が空く。

「昨日ちょっと変な話聞いたんすよ」

「変な話?」

「この業界で優良店会ってのが出来てるらしいんすよ」

私は少し考える。

「優良店会?」

「はい。俺も詳しくは知らないんすけど」

弘が続ける。

「月々会費取って、月一で加盟店の責任者が集まるらしいんすよ」

「集まって何するんだ?」

「そこまでは……まだ分からないっす」

私は少し考える。

優良店会。

名前だけなら別におかしくはない。

「その優良店会」

私は言う。

「もう少し詳しく調べられるか?」

「分かりました。ちょっと調べてみるっす」

電話が終わり、携帯を置く。

美緒がコーヒーカップを持ちながらこちらを見る。

「何かあった?」

「いや」

コーヒーを一口飲む。

優良店会。

名前だけ聞けば。

別に珍しい話でもない。

ただ。

少しだけ気になった。

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