5.再出発編[111話~135話]

114話「同じ景色」

少し早いが、私は事務所を出て美緒のマンションへ向かった。何度か走ったことのある、一時間ほどの道のり。これから先、幾度となくこの道を走ることになるのだろうと思った。美緒のマンションに着くと、やはりまだ車は駐車場になかった。私は車を停め、窓を開...
5.再出発編[111話~135話]

113話「動き出す準備」

翌日、私は朝から事務所で机に向かっていた。届出に必要なものを調べるため、ノートに思いつく限りの項目を書き出していく。だが、調べれば調べるほど曖昧な部分が増えていった。「……やっぱり、直接聞いたほうが早いか」小さく呟き、ペンを置く。警察署に行...
5.再出発編[111話~135話]

112話「決断」

美緒の部屋を出たあとも、指先に残る温もりが消えなかった。エレベーターに乗り込み、ゆっくりと閉まっていく扉をぼんやりと眺める。さっきまでの甘い空気が、まだ身体に残っている気がした。ポケットの中で携帯が鳴った。画面を見ると、弘からだった。「もし...
5.再出発編[111話~135話]

111話「花水木」

美緒に一時間くらいで着くと連絡を入れ、マンションに向かって車を走らせていた。青空が広がり、いわし雲が浮かんでいる。空気が澄んで気持ちがよく、暑さが苦手な私にとっては過ごしやすい季節になってきた。車から降りてマンションを見上げると、美緒がベラ...
5.再出発編[86話~110話]

110話「白い香り」

マンションのドアを開けると、早苗が玄関まで走ってきた。「おかえりー!ねぇ、ちょっと来て」そう言って、私の袖を軽く引く。「どうした?」靴を脱ぐ間もなく、そのままリビングへ引っ張られた。ソファーに座ると、早苗もすぐ隣に腰を下ろす。テーブルの上に...