「じゃあ、そのオーナーに伝えておいてくれ」
私はコーヒーを飲み終え、弘へ言った。
「店の名前や電話番号、それと店の外観の写真。店内の雰囲気が分かる写真やアピールポイントなんかも、ホームページを作るには必要になるからな」
弘は何度も頷く。
「了解っす。俺がまとめてお願いしときます」
「頼んだぞ」
「任せてください」
弘はいつものように笑顔を見せた。
弘は車を降り、軽く頭を下げる。
私は軽く手を挙げ、それぞれ別々の方向へ走り出した。
美緒のマンションへ戻り、玄関のドアを開ける。
「おかえり」
すぐに美緒が笑顔で迎えてくれた。
「ただいま」
靴を脱ぎ、リビングへ入るとソファーへ腰を下ろす。
「コーヒー淹れるね」
「ああ、ありがとう」
美緒はキッチンへ向かった。
しばらくすると、挽きたてのコーヒーの香りが部屋いっぱいに広がる。
その香りを楽しんでいると、美緒が湯気の立つカップを二つ持って戻ってきた。
「はい」
「ありがとう」
カップを受け取り、一口飲む。
ほっと肩の力が抜けた、その時だった。
美緒の携帯電話が鳴る。
美緒は画面を見ると、小さく笑った。
「あっ、メイからだ」
「メイから?」
私は少し驚いた。
美緒は電話に出る。
「もしもし、久しぶりー」
楽しそうな声が部屋に響く。
「うん、そうなんだ」
「うん、大丈夫だよ」
「分かった。それじゃ仕事が終わったら連絡ちょうだい」
そう言って電話を切る。
私は美緒を見る。
「何かあったのか?」
美緒は嬉しそうに笑った。
「今日ね、仕事が終わったらアクセサリーを見たいんだって。それとMAHALグループの別のお店のタレントさんも何人か一緒みたい」
「へぇ」
私は思わず笑みを浮かべた。
タレントたちから、美緒へ直接アクセサリー販売の連絡が入るようになったのかと考えていた。
すると今度は私の携帯電話が鳴る。
画面を見ると、リトだった。
「もしもし」
「ナオト! 今、大丈夫?」
いつもの明るい声が聞こえてくる。
「あのね、今日なんだけど――」
私は思わず笑った。
「アクセサリーだろ?」
電話の向こうが一瞬静かになる。
「えっ? なんで分かったノ?」
驚いた声に、私は笑いながら答えた。
「今ちょうどメイから美緒に電話があったところだよ」
「あー! メイ、早いネー!」
リトも大きな声で笑った。
「今日は何人くらい来るの?」
「いつものメイたちメンバーと、あと五人くらい来るヨ。みんな楽しみにしてるヨ」
「分かった。それじゃ後でな」
「ウン、また後で!」
電話を切ると、美緒と顔を見合わせる。
どちらからともなく笑みがこぼれた。
「なんだか賑やかになりそうだね」
「ああ」
私は頷く。
「そういえば……」
美緒が何かを思い出したように言う。
「あっ、弘さんも一緒に行くんだよね?」
「そうだったな」
私は笑いながら携帯電話を手に取る。
「今日は弘のアクセサリー販売デビューだ」
そう言って弘へ電話をかけた。

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