245話「嬉しい連絡」

「じゃあ、そのオーナーに伝えておいてくれ」

私はコーヒーを飲み終え、弘へ言った。

「店の名前や電話番号、それと店の外観の写真。店内の雰囲気が分かる写真やアピールポイントなんかも、ホームページを作るには必要になるからな」

弘は何度も頷く。

「了解っす。俺がまとめてお願いしときます」

「頼んだぞ」

「任せてください」

弘はいつものように笑顔を見せた。

弘は車を降り、軽く頭を下げる。

私は軽く手を挙げ、それぞれ別々の方向へ走り出した。

美緒のマンションへ戻り、玄関のドアを開ける。

「おかえり」

すぐに美緒が笑顔で迎えてくれた。

「ただいま」

靴を脱ぎ、リビングへ入るとソファーへ腰を下ろす。

「コーヒー淹れるね」

「ああ、ありがとう」

美緒はキッチンへ向かった。

しばらくすると、挽きたてのコーヒーの香りが部屋いっぱいに広がる。

その香りを楽しんでいると、美緒が湯気の立つカップを二つ持って戻ってきた。

「はい」

「ありがとう」

カップを受け取り、一口飲む。

ほっと肩の力が抜けた、その時だった。

美緒の携帯電話が鳴る。

美緒は画面を見ると、小さく笑った。

「あっ、メイからだ」

「メイから?」

私は少し驚いた。

美緒は電話に出る。

「もしもし、久しぶりー」

楽しそうな声が部屋に響く。

「うん、そうなんだ」

「うん、大丈夫だよ」

「分かった。それじゃ仕事が終わったら連絡ちょうだい」

そう言って電話を切る。

私は美緒を見る。

「何かあったのか?」

美緒は嬉しそうに笑った。

「今日ね、仕事が終わったらアクセサリーを見たいんだって。それとMAHALグループの別のお店のタレントさんも何人か一緒みたい」

「へぇ」

私は思わず笑みを浮かべた。

タレントたちから、美緒へ直接アクセサリー販売の連絡が入るようになったのかと考えていた。

すると今度は私の携帯電話が鳴る。

画面を見ると、リトだった。

「もしもし」

「ナオト! 今、大丈夫?」

いつもの明るい声が聞こえてくる。

「あのね、今日なんだけど――」

私は思わず笑った。

「アクセサリーだろ?」

電話の向こうが一瞬静かになる。

「えっ? なんで分かったノ?」

驚いた声に、私は笑いながら答えた。

「今ちょうどメイから美緒に電話があったところだよ」

「あー! メイ、早いネー!」

リトも大きな声で笑った。

「今日は何人くらい来るの?」

「いつものメイたちメンバーと、あと五人くらい来るヨ。みんな楽しみにしてるヨ」

「分かった。それじゃ後でな」

「ウン、また後で!」

電話を切ると、美緒と顔を見合わせる。

どちらからともなく笑みがこぼれた。

「なんだか賑やかになりそうだね」

「ああ」

私は頷く。

「そういえば……」

美緒が何かを思い出したように言う。

「あっ、弘さんも一緒に行くんだよね?」

「そうだったな」

私は笑いながら携帯電話を手に取る。

「今日は弘のアクセサリー販売デビューだ」

そう言って弘へ電話をかけた。

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