「冬は寒すぎるヨー!」
メイの言葉に店内は笑い声に包まれた。
「そんなに寒かったのか?」
私が聞くと、メイは大きく頷く。
「寒かったヨ!」
「フィリピンは雪降らないネ」
別のタレントも笑いながら言った。
「私は手が痛くなったヨ」
「それは寒いな」
私が苦笑すると、再び笑いが起きる。
そんな中。
「でもネ」
メイが箸を持ちながら言った。
「日本に来て最初にびっくりしたのはお米だったヨ」
「お米?」
私は首を傾げた。
メイは何度も頷く。
「すごく美味しかったネ」
「そうそう!」
他のタレントたちも声を上げる。
「私もびっくりしたヨ」
「ご飯だけでも食べれるネ」
リトまで笑いながら頷いていた。
「そんなに違うのか?」
「違うヨ」
メイは即答した。
「日本のお米大好きネ」
その言葉に美緒が笑う。
「それは日本人として嬉しいかも」
「本当ネ」
メイも笑顔だった。
そして話題は次々と変わっていく。
「街もキレイだったヨ」
メイが言う。
「ゴミあまり落ちてないネ」
「確かにな」
私は頷いた。
言われてみれば、それは当たり前だと思っていた。
だけど他の国から見れば違うのかもしれない。
「私は電車ネ」
別のタレントが手を挙げる。
「時間ぴったり来るヨ」
「ああ」
「最初びっくりしたネ」
周りも頷いていた。
「バスもそうネ」
「フィリピンと違うヨ。エアコンもあるネ」
どうやら相当驚いたらしい。
「でも漢字は難しいヨ」
突然メイが言った。
「ああ、それは分かる」
私が笑う。
「駅の看板とか全然読めないネ」
「日本人でも難しい漢字あるぞ」
そう言うと店内に笑いが起きた。
「私はね」
別のタレントが続ける。
「夜に若い女の子が一人で歩いてるの見てびっくりしたヨ」
「あー」
リトが納得したように頷く。
「確かにネ」
「危なくないのかと思ったヨ」
私は思わず美緒を見る。
美緒は苦笑した。
「言われてみれば普通に歩いてるね」
「日本は安全ネ」
タレントたちは口々に言った。
「あとコンビニ!」
突然メイが声を上げる。
「コンビニ?」
「日本のコンビニすごいヨ!」
他のタレントたちも大きく頷く。
「何でも売ってるネ」
「お弁当あるネ」
「お菓子いっぱいネ」
「オニギリもすごく美味しいヨ!」
次々と飛び出す言葉に、私は思わず笑ってしまった。
どうやら相当気に入っているらしい。
しばらくそんな話で盛り上がっていると。
メイがふと美緒を見た。
「でもネ」
「ん?」
「私、美緒の日本語好きヨ」
「え?」
美緒が目を瞬かせる。
「可愛いネ」
「ソウソウ!」
他のタレントたちも頷いた。
「可愛いヨ」
「話し方優しいネ」
突然の集中攻撃に美緒が戸惑う。
「そうかな?」
「そうヨ」
メイは真面目な顔で言った。
「私たち、お客さん男の人ばっかりネ」
「うん」
「だから男の人の日本語覚えるヨ」
私は思わず笑った。
確かに毎日接しているのは男の客ばかりだ。
「だからネ」
メイは身を乗り出した。
「美緒みたいに話したいヨ」
「えっ?」
「教えてほしいネ」
「私も!」
「私もネ!」
気付けば美緒はタレントたちに囲まれていた。
「いや、そんな事言われても……」
困ったように笑う美緒。
その姿を見て、私は思わず吹き出す。
そして。
店内には再び笑い声が響いた。

コメント