あのあとも、気づけばしばらく四人で話をしていた。
特別な話をしたわけじゃない。
それでも、こういう時間があるだけで、少しずつ距離は縮まっていく。
食事がひと段落して、自然と片付けが始まる。
「里奈さん、それ取ってもらっていいですか」
「はーい」と返しながら、里奈ちゃんが食器をキッチンに運ぶ。
綾さんはキッチンに立ち、食器などを洗いはじめた。
綾さんと里奈ちゃんの笑い声と、水の音がカウンター越しに聞こえてくる。
早苗がテーブルを拭きながら、
「どうだった?」
小さな声でそう聞かれて、少しだけ考える。
「いいと思う」
短くそう答えると、早苗はそれ以上何も言わず、軽く頷いた。
「もしよければ、明日からの流れだけ少し確認してもいいですか?」
片付けを終えた綾さんが、カウンター越しに言った。
「そうだな、軽くやるか」
私は早苗に目を向けると、「うん」と頷く。
「作戦会議だね!コーヒー淹れるから、綾さんは座ってて」
里奈ちゃんはそう言って、コーヒーを淹れはじめた。
三人でテーブルを囲んで座り、自然と話は仕事のほうに移っていく。
「前の店に、まだ次の仕事先が決まってない女の子がいるんです。
それで……言い方は悪いんですけど、仕事ができる子に声をかけようと思っていて」
綾さんは早苗を見て話した。
「本当に?それ助かる!」
「やったね!さすが綾さん!」
里奈ちゃんがコーヒーをテーブルに置きながら、話に加わる。
綾さんはやわらかく笑った。
「でも、茉莉花が動くまでまだ少し期間がありますよね。
お金が必要な子もいると思うので……」
三人とも少し考え込むように黙ったので、私が提案した。
「それじゃ、茉莉花が稼働するまでの間、月下美人で働いてもらうことにしようか。
腰掛けでも、他店に在籍してしまうとトラブルの元になるからな」
「あっ、それだったら問題ないですね!」
綾さんが少し目を大きくして、私を見る。
「直人くん、ナイスアイデア!」
そう言いながら、里奈ちゃんが私の腕に抱きついた。
それからは、早苗と綾さんを中心に話が進んでいき、気づけば深夜近くになっていた。
どこか現実味を帯びてきたその光景を眺めながら、私は思う。
大丈夫。
さっきよりも、少しだけはっきりと——そう思えた。

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