242話「右腕の理由」

弘と別れた私は車に乗り、美緒にメールした。

『面接は終わった?』

メールを送ると、すぐに返信が届く。

『うん。終わって、さっきマンションに戻ってきたよ(^_^*)』

私は微笑みながら画面を見つめた。

『今から帰る』

そう返信すると携帯をしまい、車を走らせた。

美緒のマンションへ着き、部屋のドアを開ける。

「おかえり」

笑顔の美緒が出迎えてくれた。

「ただいま」

私は靴を脱ぎ、リビングへ向かう。

しばらくすると、美緒がコーヒーを二つ持ってきた。

二人でソファーに腰を下ろす。

「今日の面接どうだった?」

私が尋ねると、美緒は嬉しそうに微笑んだ。

「すごくいい子だったよ。明日から出勤してもらうことになったの」

「そうか。それは良かったな」

「うん!」

美緒は本当に嬉しそうだった。

私はコーヒーを一口飲み、カップをテーブルへ置く。

「さっき弘と話してきたんだ」

「うん」

「アクセサリー販売を一緒にやりたいって」

美緒は迷うことなく頷いた。

「うん。いいと思う」

あまりにも即答だったので、私は少し驚いた。

「そんなに向いてると思うか?」

「思うよ」

また即答だった。

「なんでそう思う?」

美緒は少しだけ視線を上に向け、考えるように微笑んだ。

「弘さんって営業向きっていうか……初対面の人ともすぐ仲良くなれるでしょ」

私は黙って耳を傾けた。

「人とコミュニケーションを取るのがすごく上手なんだよね」

私はゆっくりと頷いた。

美緒は指を折りながら話し始めた。

「私と直人さんが出会って、LINK CORPORATIONの仕事が始まったのも弘さんがきっかけだったでしょ?」

「ああ」

「大介さんや美咲ちゃんを紹介してくれたのも弘さんだった。」

私は思い返すように小さく頷いた。

「それにアクセサリー販売だって、弘さんがメイと仲良くなったことが始まりだったよね」

そこまで聞いて私は腕を組んだ。

言われてみれば、その通りだった。

私の周りに広がった縁は、気付けば弘が繋いでくれたものばかりだった。

「考えてみれば……そうだよな」

私が呟くと、美緒は嬉しそうに笑った。

「でしょ?」

そして、優しく続ける。

「だから弘さんがアクセサリー販売に加わるのは正解だと思う」

私は静かに頷いた。

弘は、自分では気付いていないのかもしれない。

けれど、人と人を繋ぐことにかけては、誰にも負けない才能を持っていた。

だから私は、あいつを右腕だと思えたのかもしれない。

そう思うと、自然と笑みがこぼれた。

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