2026-03

4.社会復帰編

52話「連れ出される夜」

マンションに帰りドアを開けると、カレーのいい匂いがした。「おかえりー」早苗がエプロン姿でキッチンから顔を出す。早苗のカレーは市販のルーを使わない本格的なものだ。「今日はカレーだよ。もうできるからね」料理している早苗を眺めながら、また恵美さん...
4.社会復帰編

51話「最後の面会」

井原君からの手紙を読み返す。朝の静まりかえった部屋に、コーヒーメーカーのコポコポという音だけが響いている。これが最後の面会になるのかと考えながら、拘置所へ出かける支度をする。拘置所に着き建物を眺めていると、ここで過ごした日々を思い出した。こ...
4.社会復帰編

50話「抱えたままの夜」

早苗は寒そうに手を擦りながら、「ねえ!どうだった?何かいい情報はあった?」と興味津々で聞いてきた。私は恵美さんのことをどう説明するか決めかねていたので、「早苗のほうは?」と聞き返した。「私のほうは進展なし。まだあたってもらってるんだけどね」...
4.社会復帰編

49話「再会の代償」

恵美さんだった。私がBARに勤めていた頃に知り合った女性で、その当時、短い期間ではあるが付き合っていた。二人目の男性は「えっ!知り合いなの?」と驚いている。恵美さんは意味深に「彼のことはよく知ってるわよ」と私を見たまま言った。「それじゃあ、...
4.社会復帰編

48話「思いがけない再会」

やはり朝のラッシュに巻き込まれた。陣さんのいる拘置所は都市部の街中にある。収容人数も多く、朝一くらいで受付しないとかなり待つことになる。拘置所に着いたときには、すでに二十人ほど並んでいた。待合室で順番を待ちながら、陣さんからの手紙の内容を思...