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5.再出発編[86話~110話]

99話「静かな転機」

ジルクールを出ると、空はうっすらと白み始めていた。弘と別れ車に乗り込み、さっきの話を思い返していた。車で一時間離れた街の箱ヘル。日掛のやり方では無理がある。相手は十一や月ニだ。下げれば間違いなく飛びついてくるのは分かっている。しかし、こっち...
5.再出発編[86話~110話]

98話「この店で決めたこと」

弘にジルクールで待ってると言って電話をきった。何度か足を運んだことのある店だが、弘は初めてだと言っていた。店の前に立つと、ブルーのネオンで「ジルクール」と書かれた看板が静かに灯っていた。この店に来るのは、いつも決まって深夜だった。最初にこの...
5.再出発編[86話~110話]

97話「吐いた唾」

翌日、部屋にはスパイスの香りが残っていた。昨夜のバターチキンカレーの匂いだ。早苗はいつも通りで、何も変わらない朝だった。だが、私の中だけが少し違っていた。早苗はコーヒーを淹れ、朝食の準備をしている。私はソファーに横になり、天井を見上げながら...
5.再出発編[86話~110話]

96話「混ざらないもの」

深夜に弘から電話があった日以降、私は“裏の顔”というものを考えるようになった。表の顔は、「LINK CORPORATION 村上直人」だ。だが、明確な裏の顔というものはない。強いて言うなら、恵美の経営する月下美人での店長、あるいは責任者とい...
5.再出発編[86話~110話]

95話「掌の上」

「電話鳴ってるわよ」恵美が気怠そうな声で、私の胸を手でゆする。昨日の夜、恵美のマンションでそのまま寝てしまっていた。私の腕を枕にして寝ている恵美から、そっと腕を外して起き上がり、寝ぼけ眼で電話を見る。弘からだった。「どうした?」そう聞きなが...