リトは嬉しそうな表情のまま、少し遠慮がちに口を開いた。
「ナオト、私の家はどれくらい大きくしたらいいかナ?」
私はその表情を見て、リトが費用のことを気にしているのが分かった。
「そうだな……」
私は少し考えたあと、笑みを浮かべた。
「タレントが十人……いや、二十人は住めるようにしようか」
「二十人!?」
リトは目を丸くした。
私は笑いながら頷く。
「ああ。仕事として考えるなら、最初からそれくらいの規模は必要だろ。あとで手狭になって増築するより、最初から余裕を持って造ったほうがいい」
リトは何度も頷いた。
「そうだネ!」
私は頭の中で間取りを思い描きながら続けた。
「それと、トイレとシャワールームは二つずつ欲しいな。キッチンも二つあったほうがいい」
リトの表情がさらに明るくなる。
「それだったら、もうパーフェクトだヨ!」
私は笑って頷いた。
「まずはフィリピンサイドはそこから取りかかろう」
「うん、分かった! それじゃ明日フィリピンに電話して、奥さんに調べてもらうヨ」
リトの返事には迷いがなかった。
私も頭の中で、自分がやるべきことを整理した。
「日本でのプロモーターのことは、シゲさんに相談してみようと思ってる」
「ああ!」
リトは安心したように笑う。
「シゲさんだったら安心だネ」
私たちは顔を見合わせ、自然と笑みを浮かべた。
その時、店内に弘の大きな笑い声が響いた。
声のするほうへ目を向けると、美緒と弘は黒木のタレントたちの輪に入り、楽しそうに笑い合っている。
その光景を眺めながら、私は思った。
一人では思い描くだけだった未来が、少しずつ仲間と一緒に形になろうとしている。
その未来はもう夢ではなく、私たちの手の届く場所まで来ていた。

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