250話「未来への設計図」

リトは嬉しそうな表情のまま、少し遠慮がちに口を開いた。

「ナオト、私の家はどれくらい大きくしたらいいかナ?」

私はその表情を見て、リトが費用のことを気にしているのが分かった。

「そうだな……」

私は少し考えたあと、笑みを浮かべた。

「タレントが十人……いや、二十人は住めるようにしようか」

「二十人!?」

リトは目を丸くした。

私は笑いながら頷く。

「ああ。仕事として考えるなら、最初からそれくらいの規模は必要だろ。あとで手狭になって増築するより、最初から余裕を持って造ったほうがいい」

リトは何度も頷いた。

「そうだネ!」

私は頭の中で間取りを思い描きながら続けた。

「それと、トイレとシャワールームは二つずつ欲しいな。キッチンも二つあったほうがいい」

リトの表情がさらに明るくなる。

「それだったら、もうパーフェクトだヨ!」

私は笑って頷いた。

「まずはフィリピンサイドはそこから取りかかろう」

「うん、分かった! それじゃ明日フィリピンに電話して、奥さんに調べてもらうヨ」

リトの返事には迷いがなかった。

私も頭の中で、自分がやるべきことを整理した。

「日本でのプロモーターのことは、シゲさんに相談してみようと思ってる」

「ああ!」

リトは安心したように笑う。

「シゲさんだったら安心だネ」

私たちは顔を見合わせ、自然と笑みを浮かべた。

その時、店内に弘の大きな笑い声が響いた。

声のするほうへ目を向けると、美緒と弘は黒木のタレントたちの輪に入り、楽しそうに笑い合っている。

その光景を眺めながら、私は思った。

一人では思い描くだけだった未来が、少しずつ仲間と一緒に形になろうとしている。

その未来はもう夢ではなく、私たちの手の届く場所まで来ていた。

コメント