早苗は寒そうに手を擦りながら、
「ねえ!どうだった?何かいい情報はあった?」
と興味津々で聞いてきた。
私は恵美さんのことをどう説明するか決めかねていたので、
「早苗のほうは?」と聞き返した。
「私のほうは進展なし。まだあたってもらってるんだけどね」
ほっぺを膨らませ、拗ねた子供のような顔をする。
私は何か温かい物でも食べに行こうと提案すると、
「賛成!私うどんが食べたい!」
と手を上げて笑った。
私は車を発進させた。
恵美さんのことは、まだ早苗には伏せておくことに決めた。
うどん屋は賑わっていたので、一番奥のテーブルに座った。
早苗はいつもの海老天、私はきつねを注文した。
「ねぇ、そっちは何か収穫あったの?」
私は恵美さんの部分は端折って話した。
「へぇー!すごいじゃん!すごい進展だね」
大きな目をさらに大きくして驚いている。
「これからどう動くの?」
海老天を頬張りながら聞くので、明日また二人目の人と会う予定だと説明した。
うどんを食べている早苗を見ていると、罪悪感でいっぱいになった。
マンションに帰り、ポストを開けると井原君から手紙が届いていた。
内容は、近いうちに移送されるだろうという話と、移送されたら彼自身がお婆さんに手紙で知らせるということ、そして最後の面会に来てほしいというものだった。
執行猶予で出て、私はすっかり外の世界に慣れてしまっている。
ついこの間まで井原君と同じ房で生活していた。
塀の中に落ちるか外に落ちるかの瀬戸際だったのに。
中に落ちていたら、私は今の井原君と同じ状況だっただろう。
そう思うと、何ともいえない切ない気持ちになった。
その夜は切なさと罪悪感が入り混じり、眠っている早苗を後ろから抱きしめた。
早苗は無言で、私の腕に抱きついた。

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