48話「思いがけない再会」

やはり朝のラッシュに巻き込まれた。

陣さんのいる拘置所は都市部の街中にある。

収容人数も多く、朝一くらいで受付しないとかなり待つことになる。

拘置所に着いたときには、すでに二十人ほど並んでいた。

待合室で順番を待ちながら、陣さんからの手紙の内容を思い返す。

私が一緒にいた頃は奥さんも彼女もいないように聞いていた。

それが突然の結婚とは、相手はいったい誰なのだろうか。

そんなことを巡らせていると番号を呼ばれた。

面会室で陣さんを待っているとドアが開き、

「おー。待ってたよ」

とおちゃらけた様子で入ってきた。

私はさっそく

「結婚したんですか?」と聞いた。

陣さんは少し前屈みになり、声のトーンを落として話し始めた。

ここは収容人数が多く、面会時間は短い。結婚の件をざっくり話し終えたあたりで終了となった。

面会室から出ていくとき、陣さんは振り返り

「あっ!いつもの物よろしく」と言った。

いつもの物とは鳥の唐揚げだ。

基本的に食べ物は差し入れできないが、この拘置所では指定された仕出し屋を通せば許可されている。

仕出し屋へ向かいながら陣さんの話の内容を考えた。

相手のことは濁してはっきり言わない。

この件は人に話すなという。

そして頼みとは、刑務所の面会へ連れて行ってほしいというものだった。

最寄り駅で待ち合わせし、面会が終わったら駅で降ろしてくれればいいという。

世話になっている身でもあるし、とりあえず引き受けることにした。

早苗に話せば間違いなく怪しいと言うだろう。私自身も限りなく黒に近いグレーだと思っている。

マンションへ戻ると、早苗は待ち構えていたように「どうだった?」と聞いてきた。

内容を話すと

「それ絶対におかしいよ!」

と予想通りの反応だった。

陣さんにも何か考えがあるかもしれない、とにかく今ははっきり分からないと宥めた。

夕方、二人目の人から連絡が入り、急だが一時間後に会えないかと言われた。急いで支度に取りかかる。

シャワー途中の早苗に

「予定より早く会うことになった。迎えに行けるけどどうする?予定ある?」

と声をかけると、

「ほんと!ない!ない!」

と浴室から顔を出して笑った。

待ち合わせの喫茶店へ行くと、二人目の人はすでにテーブルに座り、アイスコーヒーを半分ほど飲んでいた。

「もう来ると思うから」と言いながら煙草に火をつける。

会わせたい人物は女性で、風俗業界に詳しく、裏の風俗にも女の子を紹介することがあるという。

そんな話をしていると

「お待たせ」と女性が現れた。

顔を見た瞬間

「あっ」と声が出た。

女性も私を見つめ

「あらっ。あなただったの」と微笑んだ。

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