陣さんからの手紙が途絶え、心配ではあったが、どうすることもできず、時間だけが過ぎていった。
そんなある日の夕方、陣さんから手紙が届いた。
すぐに封書の裏を見て住所を確認すると、そこには遠く離れた地の住所が書かれていた。
ここは、どこの住所だろう。
すぐに手紙を広げると、陣さんは医療刑務所に移送されていた。
ある夜、この拘置所で血を吐いて倒れ、そのまま医療刑務所へ運ばれたらしい。
今は治療を受けており、もうだいぶ回復しているので心配はいらない、そう書かれていた。
この拘置所の近くには、大きな病院がいくつもある。
それでも、遠く離れた医療刑務所へ移送される。
その現実に、厳しさを感じずにはいられなかった。
陣さんによると、医療刑務所には長くいないとのことで、次は高等裁判所のある地域の拘置所へ移ることになるだろう、とあった。
とにかく、無事でいてくれたことに安堵した。
私はすぐに返事を書き、差し出した。
拘置所は刑務所と違い、作業がない。
そのため、お金が入ってくることはなく、収入を得る方法は差入れしかなかった。
ここでのお金の感覚は、社会にいた頃とはまるで違っていた。
私は、購入できる嗜好品の中から
缶詰が食べたくなった。
ところが、缶詰を購入するには、タッパーを一緒に買わなければならないと言われた。
缶詰の金属は、凶器や自傷行為を防ぐため、房内への持ち込みが禁止されている。
担当者が目の前で開け、中身だけをタッパーに移す決まりなのだとう。
タッパーは五百円ほどした。
社会にいれば、なんてことのない金額だ。
だが、ここでは大金に感じられ、私は一度、缶詰の購入を見送った。
二、三日考えた末、
どうしても食べたい衝動を抑えきれず、シーチキンとフルーツの缶詰、そしてタッパーを購入した。
数日後、缶詰が届いたと告げられた。
夕食の際に、シーチキンを食べますと伝える。
念願のシーチキンに、一緒に購入したマヨネーズと醤油をかけて食べた。
こんなにもシーチキンを美味しいと感じたのは、初めてだった。
その日の夕食は、とても豪華に思えた。

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