元旦の朝も、いつもと変わりなく始まった。
昨日の大晦日は、夕食の後にラジオから紅白歌合戦が流れ、カップ麺ではあったが年越し蕎麦まで振る舞われた。
消灯の時間も紅白が終わる頃まで延長され、その間の私語も暗黙の了解で、小声でなら黙認された。
それだけでも、久しぶりに夜更かしをして、少しだけ開放感を味わえた。
元旦の朝食は豪華だった。
大きな餅が二つも入った雑煮、竹輪や筑前煮のようなおかず、そして真っ白な銀シャリ。
それだけでも喜んでいると、続けて折り詰めに入ったお節まで配られた。
折り詰めを開けてみると、社会で見るような豪華な品ではないが、充分すぎるほどの内容で、小さな鯛の尾頭付きまで入っていた。
すべて、拘置所で刑に服している懲役囚の手作りだそうだ。
量が多いため、折り詰めなどは三が日まで分けて食べていいとのことだった。
部屋に置きっぱなしでも、天然の冷蔵庫のようなものだから、腐る心配などはなかった。
久しぶりのご馳走と、餅二つの雑煮、銀シャリで、腹がはち切れそうになるほど満腹になった。
身体も少し温まり、満腹感もあって、三人とも自然と笑顔になった。
その後は、いつもと同じ生活リズムだったが、正月だからか、いつも静かな拘置所が、より一層静かに感じられた。
午睡が終わると、配られたお菓子を食べながら、娑婆でのお正月はこうだった、ああだったと話が盛り上がった。
楽しそうに話すお爺さんを眺めながら、三が日が終われば、お爺さんは刑が確定し、独居に上がることを思い出す。
この三人での生活も、もう終わるのか。
そんな考えが、静かな部屋の中に、ゆっくりと浮かんでいた。
何も起きない一日だった。
けれど、忘れない正月になる気がしていた。

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