14話「時計のない場所で」

ただひたすら座る。

楽なように思えるが、一日中座って過ごすというのは、なかなかの苦痛だった。

自由に動けないから、身体をあたためることも出来ない。

使い込まれ、少しささくれだった畳。その上に、座布団とは言えないような薄っぺらい座布団もどきに座り、一日を過ごす。

ただ、今は一人ではないという事が救いだった。

分からない事だらけだったので、色々と教えてもらった。

担当さんに用事がある時は、声を出して呼んではいけない。

報知器というものを押し、ただひたすら正座して待つ。

運動は週に三回、入浴は週に二回など、細かい決まりも説明された。

午前中に私物の使用が許可された。

ようやく、ユルユルの下着などから解放される。

すぐに私物を使えないのは、洋服などに何か隠して持ち込んでいないかを調べるためだそうだ。

拘置所には時計がない。

時間はすべて合図で分かる。

起床の合図だからこのくらいの時間、午睡の合図だからこのくらい、という具合に、だいたいの感覚を覚えていく。

窓には目隠しがしてあり、外の様子はまったく見えない。

天気も分からない。

留置場のような馴れ合いはなく、犯罪者と刑務官の間には、はっきりと線が引かれている。

刑務官の接し方に、職業や年齢は関係ないようだった。

とにかく拘置所は、時間との戦いだ。

有り余った時間を、どう過ごし、どう消化していくか。

それが、これからの課題だった。

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