228話「今度はラ•カシーナで」

「知り合いなんですか?」

美緒が不思議そうに尋ねると、リトは笑顔で頷いた。

「ウン。ラ・カシーナにはよく遊びに行くんだ」

「そうなの?」

「元々バンドやってたからネ。あそこにいるバンドの人たちと話すのが好きなんだヨ」

そう言って嬉しそうに笑う。

「みんな優しいし、音楽の話もできるしネ」

シゲさんも笑った。

「リトはよく来るもんな」

「ハイ!」

「最初は普通の客と思ってたけど、いつの間にか喋るようになってな」

「シゲさん、いろんな話してくれるから面白いんだヨ」

リトはそう言って笑った。

「ラ・カシーナって、どんなお店なんですか?」

美緒が興味深そうに尋ねる。

「あぁ、小さな店だよ」

シゲさんはコーヒーを一口飲んだ。

「生バンドが入っててな。飯も食えるし、酒を飲まなくても楽しめる」

そして笑う。

「まあ今じゃ、この街のフィリピン人の交流の場みたいになってるがな」

「交流の場ですか」

私がそう言うと、シゲさんは頷いた。

「あぁ。久しぶりに顔を合わせる奴もいれば、仕事の相談をする奴もいる。誰かがフィリピンに帰るときは、みんなで送り出したりもする」

リトは嬉しそうに笑った。

「ウン。みんな友達みたいだネ」

「そうかもな」

シゲさんも笑った。

「今度、店に出ておいでよ」

「いいんですか?」

「あぁ。大した店じゃないけどな」

そう言ってポケットから携帯電話を取り出した。

「俺も仕事でフィリピンに行ってる時があるから、来る時は連絡してくれ」

「ありがとうございます」

私も携帯を取り出した。

互いの連絡先を交換すると、シゲさんは満足そうに頷いた。

「これでいつでも連絡できるな」

「はい」

「今度はラ・カシーナで会おうや」

「えぇ」

私が頷くと、リトが笑顔で言った。

「ナオト、きっと気に入るヨ!」

「そうだね」

美緒も笑う。

「私も行ってみたいな」

四人の笑い声が、賑やかな店内に優しく溶けていった。

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