「知り合いなんですか?」
美緒が不思議そうに尋ねると、リトは笑顔で頷いた。
「ウン。ラ・カシーナにはよく遊びに行くんだ」
「そうなの?」
「元々バンドやってたからネ。あそこにいるバンドの人たちと話すのが好きなんだヨ」
そう言って嬉しそうに笑う。
「みんな優しいし、音楽の話もできるしネ」
シゲさんも笑った。
「リトはよく来るもんな」
「ハイ!」
「最初は普通の客と思ってたけど、いつの間にか喋るようになってな」
「シゲさん、いろんな話してくれるから面白いんだヨ」
リトはそう言って笑った。
「ラ・カシーナって、どんなお店なんですか?」
美緒が興味深そうに尋ねる。
「あぁ、小さな店だよ」
シゲさんはコーヒーを一口飲んだ。
「生バンドが入っててな。飯も食えるし、酒を飲まなくても楽しめる」
そして笑う。
「まあ今じゃ、この街のフィリピン人の交流の場みたいになってるがな」
「交流の場ですか」
私がそう言うと、シゲさんは頷いた。
「あぁ。久しぶりに顔を合わせる奴もいれば、仕事の相談をする奴もいる。誰かがフィリピンに帰るときは、みんなで送り出したりもする」
リトは嬉しそうに笑った。
「ウン。みんな友達みたいだネ」
「そうかもな」
シゲさんも笑った。
「今度、店に出ておいでよ」
「いいんですか?」
「あぁ。大した店じゃないけどな」
そう言ってポケットから携帯電話を取り出した。
「俺も仕事でフィリピンに行ってる時があるから、来る時は連絡してくれ」
「ありがとうございます」
私も携帯を取り出した。
互いの連絡先を交換すると、シゲさんは満足そうに頷いた。
「これでいつでも連絡できるな」
「はい」
「今度はラ・カシーナで会おうや」
「えぇ」
私が頷くと、リトが笑顔で言った。
「ナオト、きっと気に入るヨ!」
「そうだね」
美緒も笑う。
「私も行ってみたいな」
四人の笑い声が、賑やかな店内に優しく溶けていった。

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