3.拘置所編

3.拘置所編

13話「合図を待つ時間」

寒さで目が覚めた。昨日と同じ天井が視界に入る。夢だったらよかったのに、と思う前に、ここが拘置所だという事実が先に身体に伝わってきた。布団に入ったままぼーっとしていると、スピーカーから聞き覚えのあるクラシックの爽やかな音楽が流れてきた。この場...
3.拘置所編

12話「一人ではなかった夜」

房に入った瞬間、目が合った。留置場で一緒に過ごした、あの人だった。刑務官が施錠を済ませて立ち去ると、お互いに自然と笑顔がこぼれた。自分が座る位置も、すでに決められていた。急いで腰を下ろすと、小声でこう言われた。「朝からずっと怒鳴られてたなぁ...
3.拘置所編

11話「午睡という時間」

昼食を食べ終え、食器を返したあと、思っていたよりも早く静けさが戻ってきた。留置場では、食事のあとはどこかざわついていた。話し声、足音、職員の声。何かしらの「動き」が、必ずあった。だが拘置所では違った。全員が同じ時間に、同じことをしているはず...
3.拘置所編

10話「ありがたい」

拘置所に来て初日は、ここまで言われるのかと思うほど、罵声と怒声の嵐だった。移監されたのは真冬だった。冷暖房設備のない拘置所は、外にいるのと変わらないくらい寒かった。部屋に入れられて五分ほどすると、刑務官が針と糸を持ってきた。敷布団にシーツを...
3.拘置所編

9話「25番」

想像以上だった。拘置所に入所して、わずか三十分ほどで戦意喪失してしまった。最初に、すべて脱ぐよう指示された。下着一枚で突っ立っていると、間髪入れずに怒鳴り声が飛んできた。罵声の連続だった。これまでの人生で、一度も浴びたことのない種類の言葉だ...