8話「最後の煙草」

月曜日の朝を迎えた。

気持ちはどんよりと憂鬱だったが、外は憎たらしいほどの青空が広がり、太陽がやけに眩しかった。

土曜日の夜、取り調べはすでに終わっていた。それでも刑事が、「取り調べ」という建前で、久しぶりに留置場から出してくれた。

いつもの取調室だと思っていたが、連れて行かれたのは刑事部屋だった。温かい珈琲を淹れてくれ、チョコレートやお菓子まで出してくれた。

月曜日は移監だからな。

そんな言葉とともに、取り調べの時には見たことのない笑顔で、1時間ほど雑談をした。それは取り調べではなく、完全に気遣いだった。

留置場に戻される際、刑事はこう言った。

「執行猶予になるか実刑になるかは、裁判官が決めることだ。どっちに転んでも、腐らずに頑張れ」

私は深々と頭を下げ、「色々と迷惑をかけました。ありがとうございます」

そう言って、留置場に戻った。

朝食を済ませると、すぐに移監の準備が始まった。

領置金の確認、荷物の整理。

すべてを終えると、1房ずつ順番に挨拶をして回った。

手錠をはめられ、留置場をあとにする。

三ヶ月以上過ごした場所。

毎日顔を合わせ、雑談を交わすほどになった職員たちとの別れに、

寂しさとも違う、言葉にしづらい感情が込み上げてきた。

拘置所までの護送車には、いつも雑談をしていた職員もいた。

拘置所の駐車場に到着すると、その職員はポケットから煙草を取り出し、こう言った。

「ここから先は、もう煙草も吸えない。最後に吸っていけ」

そう言って火をつけてくれた。

煙草を吸いながら、さらに続けた。

「お前は初めてだから、よく分かってないかもしれんがな。

留置場と同じだと思うなよ。男の修行だと思って、頑張れ」

結局、煙草を三本も吸わせてくれた。

拘置所の前に立った。

さあ、いよいよだ。

そう自分に言い聞かせ、気合いを入れ直す。

ここから先は、もう留置場ではない。

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