留置場での生活にすっかり慣れ、日々を淡々と過ごしていた。
ある日起訴状が届き、公判が始まった。初めての経験で、緊張していた。
法廷に入り、公判が始まるまで手錠ははめられたままだった。裁判官、弁護士、検事、そして傍聴席にもちらほら人がいたが、驚くほど静かだった。
公判が始まる直前、手錠を外される。カチャカチャという冷たい金属音だけが、法廷に響いていた。
裁判官から「被告人」と呼ばれ、改めて罪を犯したのだと実感した。
一回目の公判は罪状認否と呼ばれ、罪を犯したかどうかを確認するだけですぐに閉廷した。
次回の公判日は、およそ一か月後と告げられた。
もっと簡単に進んでいくものだと思っていた。
この拘禁生活がいつまで続くのかと考え、愕然とした。
裁判所からの帰りの車の中で、留置場の職員に公判が終わるのはいつ頃になるのか尋ねてみた。
職員は笑いながら言った。
「お前は気が早いなぁ。おそらく、あと数か月はかかるぞ」
その言葉を聞いて、落胆した。
「それじゃあ、これからもしばらく留置場でお世話になります」と言うと、取り調べが済んだら拘置所に移監されると教えられた。
拘置所とはどんなところなのか。
房に戻り、同じ部屋の人に尋ねてみた。
どうやら留置場とは管轄が違い、法務省の施設らしい。
留置場とはまったく違い、刑務所の一歩手前の場所だと、簡単に説明を受けた。
拘置所とはどんなところなのか。
刑務所、懲役――そんな言葉が頭に浮かび、その日はあまり眠れなかった。
留置場での生活も三か月を過ぎた頃、確か金曜日の夜だった。
職員からいきなり、
「月曜日に拘置所へ移監になったぞ」
と告げられた。
えっ。
予期せぬ突然の告知に、「あっ、はい、分かりました」と平静を装って答えた。
けれど内心では、とうとう来たかと落ち込んでいた。
そしていよいよ、留置場とはまったく違う生活がスタートする。

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