40話「夜の街と新しい日々」

久しぶりに夜の街並みを見た。

並んでいる車のヘッドライトやテールランプの光だけでも幻想的で、見入ってしまう。

ビルの灯りやネオンは感動ものだった。

街中は音や匂いで溢れかえっている。車のクラクションや人の笑い声。

懐かしい街の匂い、食べ物の匂い。この雑多な雰囲気が心地よかった。

その日の夜は、気持ちが昂っているのか急に環境が変わったからなのか、なかなか寝付けなかった。

昨夜まで寝ていた昭和四十一年製の布団、硬い枕、ずっしりと重いだけの掛け布団。

今はベッドに柔らかい枕、フカフカの布団、柔軟剤の良い匂い。

昨夜とは違い過ぎて、逆に落ち着かない。

でも隣で早苗が小さな寝息をたてている横顔を眺めていると、何もかもが幸せに思えた。

しかしこれからどうやって生きていこうか。

保護観察が付いているし、建前だけでも真っ当な仕事を探さないといけない。

執行猶予になると思っていなかったので、社会復帰してからのことは全く考えていなかった。

それでも時間は進んでいく。外での生活がここから始まるのだと感じていた。

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