拘置所では、土日祝日になると運動も入浴も面会も、手紙の発信さえもない。
房から外に出ることは、まずなかった。
雪がちらほら降っている日曜日。
陣さんが言っていた「地獄の沙汰も金次第」という言葉を、ぼんやりと考えていた。
やはり世の中はお金なのだろう。
すべてのものがお金で買えるとは思っていないし、すべてが解決できるとも思っていない。
それでも、かなりのことはお金でどうにかなる。
そう感じてしまった。
今までの自分は、お金に無頓着だった。
仕事を探す時も、給料を気にしたことはほとんどない。
あればあるだけ使い、後先を考えずに生きてきた。
世の中の表しか知らなかった。
だが今は、ほんの少しだけ裏側を知ってしまった。
現実には、罪を犯してもお金で良い弁護士を雇えば、保釈ですぐに社会に戻れる。
公判での判決も変わる。
下手をすれば起訴猶予や不起訴になり、起訴すらされないこともある。
やはり、このままではダメだ。
お金は持っていなければならない。
では、これから先どうやってお金を稼ぐのか。
自分には学歴もない。
今は、れっきとした前科一犯だ。
まともな会社で働くことなど、まず無理だろう。
それどころか、公判の結果次第では、刑務所に何年か務めなければならないかもしれない。
そんなことを考えていると、
「やかん用意!」
という声が鳴り響き、いつの間にか夕食の時間になっていた。

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