拘置所での生活の流れや規則も分かり、独居生活にもすっかり慣れてきた。
自分の公判も、第二回、第三回と進んでいた。
公判の前日には、必ず弁護士が接見に来る。
しかし、その接見は義務で来ているだけ、そんな印象を受けるものだった。
接見時間は、五分もなかった。
自分は国選弁護人
文字通り、国が選んだ弁護士が付いている。
自分で費用を払って依頼する弁護士は、私選弁護士という。
私の弁護士はかなりの高齢で、公判でもほとんど発言しなかった。
検事の言うことに対しても、異議を唱えることはなかった。
テレビや映画で見るような、検事と弁護士の舌戦など、そこにはなかった。
検事は二人いるように見えた。
そのことを、以前陣さんに話したことがある。
すると陣さんは笑いながら、こう言った。
「それが普通だぞ。国選だったら、よくある話だ。弁護士も人間なんだから、報酬が少なきゃ仕事もそれなりだ。それが世の中だ。期待するなよ要するに、地獄の沙汰も金次第ってことだ」
ドラマや映画の中だけの話だと思っていた。
だが、これが現実なのだと、思い知らされた。
ふと、留置場で出会ったあの組員が、別れ際にニヤッと笑った表情が、今になって分かったような気がした。

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