初めての独居生活が始まった。
奥行きは畳三畳ほど。横幅は、両手を広げると壁に触れるくらいしかない。
一番奥にはトイレの便器が据え付けられている。囲いはなく、ただ便器があるだけだった。
和式なのか洋式なのかもよく分からない。
和式便器に箱を被せただけのような形で、座るのか、しゃがむのかすら迷う。
その手前に、昭和の匂いが残る洗面台がひとつあるだけの部屋だった。
この階には何人もの人間が生活しているはずなのに、物音はひとつもしない。
今日からこの部屋で、一人で生活していくのだと思った。
――孤独。
その言葉が、頭に浮かんだ。
それは感情というより、この環境そのものだった。
会話する相手はいない。
雑居房にいた頃より、時間の流れが明らかに遅く感じられた。
消灯の合図の前、スピーカーから「遠き山に日は落ちて」が流れる。
独居房で聴くそれは、雑居房の時とは違っていた。
レコードの擦れるような「ジー」という音が先に流れ、どこか擦り切れた音色が続く。
一人で改めて聴くと、その音楽は身に沁みた。
無性に、切なくなった。
この部屋で一人。
いつまで続くか分からない孤独な生活。
時間をどう消化していくのかを考えながら、眠りについた。
それが、独居生活の最初の夜だった。

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