拘置所に来て初日は、ここまで言われるのかと思うほど、罵声と怒声の嵐だった。
移監されたのは真冬だった。
冷暖房設備のない拘置所は、外にいるのと変わらないくらい寒かった。
部屋に入れられて五分ほどすると、刑務官が針と糸を持ってきた。
敷布団にシーツを縫い付けるよう指示される。
裁縫なんて、小学生の家庭科以来やった覚えがない。
手は悴み、思うように動かない。何度か指に針を刺し、痛みとともに、わずかに血が滲んだ。
作業が終わり、針と糸を戻す際、指から血が出ているのを見られ、また怒鳴られた。
しばらく、寒さに耐えながら黙って座っていた。
すると、何と表現すればいいのか、お坊さんがお経をあげる時のような、低く、叫ぶような、唸るような声が響いてきた。
意味が分からないまま座っていると、刑務官と、雑役と呼ばれる数人の懲役囚が、房の前に立っていた。
「貴様!何を座っとるか!早く、やかんを持って来い!この馬鹿が!」
何が正解なのか分からないまま、ただ怒鳴られ、命じられる。
その後も、怒鳴り声が途切れることはなかった。
何度か、唸るような声が響いたあと、昼食が運ばれてきた。
驚いた。
温かいチャンポンと、にんにくの効いた焼き飯だった。
芯まで冷え切っていた身体に、それが染み渡った。
留置場では、いつも冷たい食事だった。
だから、ほんのりとでも温かい食事を口にしたのは、数ヶ月ぶりだった。
外の社会で生活していた頃なら、何でもないことだったはずだ。
それでも、この時は、本当にありがたいと感じていた。

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