拘置所では、すべてが突然やってくる。いきなりガチャガチャと鍵が解除され、ドアが開き、「四房、運動! 全員出ろ!」という流れだ。
三人で急いで廊下に出て気をつけ。
担当さんの号令に従い、運動場まで進むというか、行進する。
久しぶりに踏む土の感触。
広々とした場所。
それに、太陽の陽を全身に浴びた。
だが、運動場の周りには高い塀があった。
拘置所では、外に出るとき以外は手錠がない代わりに、この高い塀に囲まれている。
塀の外側には、普通の生活がある。
そう思うと、塀はより一層高く見えた。
運動という名目で、塀の中をぐるぐる歩き回りながら、ひそひそと雑談する。
他の房の者もいるので、ここは貴重な情報交換の場だった。
歩きながら塀を眺めて思った。
ここでは、みんな塀の上をユラユラと歩いている。
公判の結果次第で、塀の中に落ちるか、外に落ちるか。
運動があった日の翌日、いつもの調子でドアが開き、「四房、入浴! 全員出ろ!」という声が響いた。
ただ一つ違ったのは、入浴のときは房で下着一枚になり、そのまま入浴場まで行くことだった。
とにかく寒い。
入浴のときも、もちろん監視がある。
留置場とは違い、入浴のルールまで細かく決められていた。
洗髪から始まり、浴槽に入れるのは最後。
入浴時間は十五分で、それもタイマーで計られている。
「こらっ! 水を無駄に使うな!」
「こら! ちゃんと洗え!」
怒声は飛びっぱなしだった。
最後に五分間、浴槽につかれた。
浴槽では、じっとしているのが決まりらしい。
身体を掻くと垢が出て、お湯が汚れるからだそうだ。
少しでも動くと、また怒声が飛んでくる。
それでも浴槽には、垢が層になって浮いていた。
垢が浮いていようが、入浴は身体が温まる唯一の場所だった。
本当に気持ちよかった。
房に戻っても、三十分くらいはポカポカしていた。
社会では何でもないような当たり前のことが、ここでは幸せに感じられる。

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