想像以上だった。
拘置所に入所して、わずか三十分ほどで戦意喪失してしまった。最初に、すべて脱ぐよう指示された。
下着一枚で突っ立っていると、間髪入れずに怒鳴り声が飛んできた。
罵声の連続だった。
これまでの人生で、一度も浴びたことのない種類の言葉だった。急いで下着を脱ぎ、産まれたままの姿になる。
身体検査が始まった。
刺青の有無。
性器の形。「玉入れ」と呼ばれるもの。
指の欠損。
一つひとつ、マジマジと確認された。
次に、四つん這いになるよう命じられた。床を見ると、手の位置と足の位置が描かれている。
一瞬ためらっていると、また怒鳴られた。
「貴様!ここがどこか分かっているのか!この馬鹿が!」
観念して、思いきり四つん這いになった。
尻をこれでもかというほど広げられ、肛門を調べられた。中に何かを隠していないか確認するためだという。
検査が終わると、称呼番号を与えられた。
これから先は、名前ではなく番号で呼ばれるのだと告げられる。
私は、25番になった。
拘置所の心得のような冊子を渡され、よく読むよう指示された。
目を通そうとしたが、立て続けに起きた出来事が衝撃的すぎて、
内容はまったく頭に入ってこなかった。
しばらくして、
暴力団を連想させるような、ガタイのいい刑務官が部屋に入ってきた。
「おい。ちゃんと読んだか?」
「はい」と答えると、
刑務官は口元に、かすかな笑みのようなものを浮かべて言った。
「これから先、知らなかった、分からなかった、そんな言い訳は一切通用しないからな!」
また怒鳴り声が響いた。
⸻
その後、房へ連れて行かれた。
途中の廊下には、布団が乱雑に置かれていた。
「これがお前の布団だ。さっさと持て!」
刑務官は、足で布団を差し示した。慌てて抱きかかえるように持つと、かなり重かった。
スリッパも支給された。
子供の頃、田舎のトイレにあったような、売っているのを見たことがないタイプのスリッパだった。
房に入ると、
「ちゃんと揃えろ!」
と、また怒鳴られた。
中に入るとすぐ、施錠された。
ここは雑居房らしく、複数人で生活する部屋だった。
留置場は冷暖房完備だったが、ここには、そういった設備は一切ないようだった。
腰を下ろし、部屋を見回す。
建物自体がかなり古く、無機質だった。
この階には誰もいないのかと思うほど、静まり返っている。
これから、ここで生活していく。
そう考えたとき、
もう、戦意は残っていなかった。


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